文化審議会は19日、沖縄県那覇市の玉陵(たまうどぅん)を国宝に、栃木県真岡市の大前神社(おおさきじんじゃ)など8件を新たに重要文化財に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。これにより、国宝・重文の建造物は2497件となる。
王陵は沖縄県の建造物として初の国宝指定。琉球王国を治めていた第二尚(しょう)家の歴代王族の墓で、1501年に築造された。石垣で囲まれた敷地の奥にある3棟の墓室は、琉球地方の破風墓(はふばか)形式として、現存最古かつ最大規模を誇る。
中室には洗骨前の遺体を安置し、洗骨後に東室に王と王妃を、西室に王族を納骨したと考えられる。琉球の葬送慣習を伝え、空間構造もグスク(城)と共通性を持つなど、文化史的な意義も高い。
大前神社の本殿は1707(宝永4)年に建てられた。組物の龍彫刻のほか、柱や壁の幾何学意匠の地紋彫など先駆的な手法で飾られており、北関東に展開した装飾建築の先駆けとなる壮麗な社殿として歴史的価値が高いと評価された。
このほかの重文指定は次の通り。
旧相馬家住宅(北海道函館市)▽曹源寺栄螺(さざえ)堂(群馬県太田市)▽旧田中家住宅(埼玉県川口市)▽伊藤家住宅(新潟県糸魚川市)▽武知家住宅(徳島県石井町)▽有馬家霊屋(たまや)(福岡県久留米市)▽旧田代家西洋館(佐賀県有田町)
沖縄県の建造物では初の国宝となる玉陵